EMMとは?注目される背景やメリットを解説します
近年、業務を遂行するにあたり、パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスを、社内はもちろんのこと、外出先やリモートワークなどで利用するケースも増えてきました。しかしそのデバイスや利用するアプリケーションやデータの数や種類の増加に伴い、管理の工数が増しており、大きな課題となっています。
そこで導入されているのがEMMです。デバイスを効率的に一元管理し、社内の資産管理やコンプライアンス管理、セキュリティ管理までを実現する注目のシステムについて、概要からメリット・デメリットまでご紹介します。またモバイルデバイス管理のポイントも合わせてみていきましょう。
目次[非表示]
- 1.EMMとは
- 1.1.MDM・MAMとの違い
- 2.EMM導入のメリット
- 2.1.モバイルデバイスの総合的な管理の実現
- 2.2.セキュリティリスクの低減
- 2.3.リモートワークの促進
- 3.EMM導入のデメリット
- 3.1.環境の見直しが必要になる
- 3.2.情報セキュリティポリシーの策定・見直し
- 3.3.社員への説明や教育が必要
- 3.4.3種の機能による管理工数の増加
- 4.EMMの選び方
- 4.1.1.セキュリティ機能の充実度
- 4.2.2.管理の柔軟性
- 4.3.3.使いやすさ
- 4.4.4.コスト
- 4.5.5.サポート体制
- 5.モバイルデバイス管理はライフサイクル管理の視点を
- 5.1.ライフサイクル管理とは
- 5.2.ライフサイクル管理の重要性
- 6.まとめ
- 6.1.関連サービス
- 6.2.関連資料ダウンロード
EMMとは
EMMとは「Enterprise Mobility Management」の略称で、「エンタープライズモビリティ管理」と訳されます。
企業で業務に利用するパソコンやスマートフォン、タブレットなどのデバイスから、それらのデバイスで利用するアプリケーション、データを総合的に一元管理するシステムを指します。
EMMは、モバイルデバイスの紛失・盗難を含めたセキュリティを管理し、業務利用において効率的かつコンプライアンスを遵守しながら安全に活用するために導入されています。
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MDM・MAMとの違い
EMMは、MDM・MAM・MCMの3種類のモバイル管理システムの機能を兼ね備えています。
MDM(Mobile Device Management)
モバイルデバイスを一元管理するシステムです。モバイルデバイス自体の利用を制限したり、アプリの一括インストール、紛失・盗難時の遠隔からのデータ全消去機能などを通じて、モバイルデバイスの管理を効率化します。
MAM(Mobile Application Management)
モバイルデバイスの、アプリケーションの利用範囲を一括設定できるシステムです。BYOD(Bring Your Own Device)デバイス、つまり社員個人が保有するモバイルデバイスを業務に利用する際に、プライベートと業務利用の範囲を明確に区分するために使われることが多くあります。社員保有モバイルデバイスの中に一部、業務用の領域を設けて、その領域のみを管理することができます。
MCM(Mobile Contents Management)
モバイルデバイスで利用するコンテンツを管理することができるシステムです。業務ではモバイルデバイス上で文書や画像、音声、動画などのコンテンツを利用しながら業務を行うことが多くありますが、それらのコンテンツの登録から、編集、配信、アクセス権限管理、閲覧期限の設定なども容易に行えます。
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EMM導入のメリット
EMMを導入することにより、次のメリットが期待できます。
モバイルデバイスの総合的な管理の実現
EMMは、多様な機能を備えていることから、社内におけるモバイルデバイスの導入・管理を効率的に実施できる今の時代に即したシステムといえます。モバイルデバイスの業務利用が浸透する中、その導入台数も増加傾向にあり、管理はより煩雑になります。そのような中、モバイルデバイスを一括管理できるEMMは、管理工数の削減と管理効率化の向上を促してくれます。
セキュリティリスクの低減
モバイルデバイスの業務利用を安全・安心に促進させることができるのも、EMMのメリットです。ネットワークセキュリティはもちろん、不正利用や利用の範囲を超えた利用、情報漏洩リスクの低減につながります。
リモートワークの促進
近年は、働き方改革やコロナ禍による影響からリモートワークが浸透しています。社員が場所と時間を問わずに業務を実施することで、業務効率が上がり、生産性向上につながります。リモートワーク導入に伴い、社内のモバイルデバイスを貸与することも進んでおり、遠隔からモバイルデバイスを一元管理することができるEMMは、リモートワーク時代に重要なツールの一つといえます。
EMM導入のデメリット
一方で、EMMには次のようなデメリットもあります。
環境の見直しが必要になる
EMM導入時には、ただ単にツールを導入すればいいというわけではありません。これまで敷いていた業務体制や環境を多かれ少なかれ、見直す必要があります。全社的なネットワークの見直しなどを実施する必要があるため、導入に至るまでに期間とコストを要すると考えられます。
情報セキュリティポリシーの策定・見直し
導入の際には、環境の見直しだけでなく、情報管理のルールを定めたセキュリティポリシーの見直し・策定の必要性もあります。EMMを導入する企業は、セキュリティ管理の強化を目的としていることも多いと思われます。しかしEMMによってセキュリティを強化するためには、運用人員やモバイルデバイスを利用する社員一人ひとりの意識や知識を高めることも求められます。
社員への説明や教育が必要
セキュリティポリシーを策定した後は、それを全社的に周知し、さらに具体的なセキュリティ教育を実施する必要性もあります。また、EMMの操作方法について、操作する人員に教育することも大切です。EMMにいくら高度な機能が備わっていても、使いこなせなければ、ねらった効果を得ることはできないからです。
3種の機能による管理工数の増加
先述の通り、EMMは、MDM・MAM・MCMの3種類のモバイル管理システムの機能を兼ね備えています。それぞれの機能を活用して管理していくことになるため、その分、管理工数が増加することも必要な検討事項といえます。
EMMの選び方
このように、導入メリットも多いEMMですが、市場には多種多様なEMMソリューションが存在し、どれを選べば良いのか迷うことも少なくありません。ここでは、EMMの選び方についてのポイントを解説します。
1.セキュリティ機能の充実度
EMMの最も重要な目的の一つは、企業データのセキュリティを確保することです。したがって、選択するEMMソリューションが提供するセキュリティ機能を詳細に確認しましょう。デバイスの暗号化、リモートワイプ、認証機能などが充実しているかをチェックすることが重要です。
2.管理の柔軟性
企業によってモバイルデバイスの利用状況やニーズは異なります。EMM製品がどれだけ柔軟に対応できるかを確認しましょう。例えば、BYOD(Bring Your Own Device)をサポートしているか、様々なOS(iOS、Android、Windowsなど)に対応しているかなどがポイントです。
3.使いやすさ
EMMの管理者が使いやすいインターフェースを持っているかどうかも重要です。複雑な操作が必要であれば、管理に多くの時間と労力がかかるため、生産性が低下する可能性があります。デモ版やトライアルを利用して、実際の操作感を確かめることをお勧めします。
4.コスト
EMMの導入にはコストがかかりますが、そのコストが企業の予算に見合っているかを検討する必要があります。初期導入費用だけでなく、ライセンス費用や保守費用といった費用面だけでなく、運用コスト、人材育成など長期的なコストも考慮することが重要です。
5.サポート体制
トラブルが発生した際に迅速に対応できるサポート体制が整っているかも重要なポイントです。24時間365日のサポートが提供されているか、サポートチームの対応品質が高いかを確認しましょう。サポート側の体制が整っていても、社内のリソースが足りなくては意味がありませんので、場合によっては外部への運用委託も検討できるとよいでしょう。
モバイルデバイス管理はライフサイクル管理の視点を
モバイルデバイス管理を効率化するには、ただ単にEMMを導入するだけでなく、ライフサイクル全体を通じた管理の視点を持って導入・運用することをおすすめします。
ライフサイクル管理とは
ライフサイクル管理とは、企業におけるIT機器の選定・企画から廃棄に至るまで、ライフサイクル全体に渡って管理を行う手法のことをいいます。モバイルデバイスにおいて、ライフサイクル管理を実施することで、より効率的な管理が可能になります。
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ライフサイクル管理の重要性
ライフサイクルを通じた管理を行うことは、モバイルデバイスの「循環」の視点を持って管理することを意味します。「運用さえうまくいけばいい」と考えてしまうと、故障したときに慌ててしまうなど、対応に混乱をきたしてしまいます。ライフサイクル管理が適切に行われていれば、故障時の対応もスムーズに実施でき、代替機の貸出や新規デバイスの手配なども迅速に行えます。また、必要な時期が来たらリプレイス対応を行うなど、効率的に社内のモバイルデバイスを循環させていくことが可能です。
EMM導入は、そのライフサイクル管理の一部として実施するようにすると良いでしょう。
しかし課題もあります。ライフサイクル管理は、導入から設定、運用・保守、故障対応、サポートデスク、廃棄に至るまでありとあらゆる対応が求められることから、人手不足の中、コストを割くことはむずかしいでしょう。
課題解決のためには、ライフサイクル管理を代行してくれる外部サービスを利用することが有効です。専門家が業務を代行することから、より安心・安全なライフサイクル管理が実現します。
【関連コラム】PCLCMとは?サービス利用メリットや内容を解説
まとめ
EMMは、モバイルデバイスを社内で総合管理したい場合に最適なシステムです。ぜひライフサイクル全体を通じた管理の際に、役立たせてください。
モバイルデバイスのライフサイクル管理に課題をお持ちの方は、MXモバイリングの「LCMサービス」のご利用がおすすめです。
同サービスでは、パソコンやスマートフォン、タブレットなどの業務で利用するデバイスをライフサイクルを通じて管理します。MDMなどの導入も設計段階からご提案し、効率的な運用を行うことが可能です。
ご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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