VR研修とは?メリット・デメリットや事例を解説!
近年、VR(バーチャルリアリティ)を活用した研修を行う企業が増えています。さまざまな分野で導入されていることを知り、自社で実施した際にはどのようなメリットやデメリットがあるのか知りたいとお考えの方もいるでしょう。
そこで今回は、VR研修とはどのようなものなのか、メリットやデメリット、VR研修が向いている業界・シーンおよび事例をご紹介します。
目次[非表示]
- 1.VR研修とは
- 2.VR研修のメリットとデメリット
- 2.1.メリット
- 2.1.1.バーチャルに体験しながら学べることから理解が深まりやすい
- 2.1.2.受講者のモチベーションや積極性が向上する
- 2.1.3.現実では再現が困難な危険を伴う研修も実施できる
- 2.1.4.研修費の削減が可能
- 2.1.5.再現性が高い
- 2.2.デメリット
- 2.2.1.機器導入・教材制作によって初期コストがかかる
- 2.2.2.教材コンテンツの中身は検討の余地がある
- 3.VR研修の2つの種類
- 4.VR研修が向いている業界・シーン
- 4.1.実践スキル習得が必要な作業のある業界
- 4.2.危険を伴う作業のある業界
- 4.3.防災訓練を安全に実施したいシーン
- 5.VR研修を導入する注意点
- 5.1.1. 目的と目標の明確化
- 5.2.2.適切なコンテンツの選定
- 5.3.3.技術的な準備
- 6.VR研修の事例
- 6.1.防災訓練のVR研修の事例
- 6.2.建設業のVR研修の事例
- 6.3.ファストフード店のVR研修の事例
- 7.まとめ
- 7.1.安全教育VR
- 7.2.関連コラム
- 7.3.関連サービス
- 7.4.関連資料ダウンロード
VR研修とは
VR研修とは、Virtual Reality(バーチャルリアリティ/仮想現実)技術を用いた研修方法のことを指します。
VRとは
VRとは、コンピューター技術によって創り出された仮想的な空間などを、あたかも現実であるかのように疑似体験できる仕組みです。
一般的には、よりリアルに没入感を持って仮想空間を体験できるように、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)という頭に装着するゴーグルのような形状のディスプレイを利用します。
VR研修とは
VR研修とは、VRを研修に取り入れることを指します。バーチャル空間でさまざまな業務や事故や災害などのシチュエーションを再現・体験できる研修です。
例えば、労働災害は実際に起きてみないとどれほどのリスクがあるのか、また恐ろしいものなのかを体験することは困難です。また現実空間で再現するのは限界があります。バーチャルの世界であれば、いくらでも危険な事故を再現できますし、実際に危険を伴うことがないため、リアルな疑似体験を通して実際の事故のリスクを理解することができます。
実際に、製造業において機械にはさまれてしまう体験や火災が起きたときの状況などをバーチャルの世界で再現するといったVR研修が行われています。
VR研修のメリットとデメリット
VR研修には、メリットもデメリットもあります。それぞれ解説します。
メリット
バーチャルに体験しながら学べることから理解が深まりやすい
VR研修では、従来の座学や想定した訓練などと比べて、仮想空間であたかも現実に体験しているかのような感覚を得ることができます。体感しながら対象を学ぶことができるので、理解が深まりやすいといえます。
受講者のモチベーションや積極性が向上する
研修におけるよくある課題として、モチベーション管理があります。研修への学習意欲が低く、モチベーションをどうにかして上げたいという課題です。VR研修は、これまでにない研修方法であることから受講者の興味を喚起しやすいという点に加え、VR体験そのものが楽しく、学びも深まるため、受講者のモチベーションが上がりやすいメリットがあります。
現実では再現が困難な危険を伴う研修も実施できる
VR研修において特に効果を発揮するのは、現実世界ではなかなか再現しづらい危険を伴う労働災害や災害発生時の対応を訓練するような研修です。従来の研修では行えなかったことも教育できる可能性があります。
研修費の削減が可能
従来の研修は、会場や講師を確保して日程調整を行うなど、研修にかかる手間や時間が大きいものです。VR研修では、研修コンテンツはバーチャルの世界であることから、現実世界においては大きな会場や講師を手配する必要はありません。
再現性が高い
VR研修の研修コンテンツは、実際の現場の状況やシチュエーションの再現性が高いという特徴があります。ただの動画やアニメーションによる教材と比べて、リアリティが高いのが特徴です。再現性の高さから、受講者の学習がより深まり、インパクトもあるため、記憶にも定着しやすいという効果が期待できます。
デメリット
機器導入・教材制作によって初期コストがかかる
VR研修を始めるには、HMDのような映像機器とVR教材・コンテンツの準備が必要です。機器の種類や教材の内容によってコストは変わってきますが、作り込むことで初期コストに幅が出てきます。
教材コンテンツの中身は検討の余地がある
VR研修の教材は、VRで制作することになりますが、どのような内容にするかは検討しなければなりません。近年はVR教材のクオリティを高めて教育効果を上げるために、専門家の監修の下で制作するケースは少なくありません。その場合は制作期間が必要になることから、長期的かつ大規模なプロジェクトになることもあるでしょう。
VR研修の2つの種類
VR研修には主に「実写型」と「CG型」の2種類があり、それぞれに特徴があるため、どちらを選ぶかは、研修の目的や内容、予算などによります。例えば、現場のリアルな状況を体験させたい場合は実写型が適しており、複雑な操作やシナリオを体験させたい場合はCG型が効果的です。このような、それぞれのVR研修の特長と違いをご説明いたします。
実写型VR研修
実写型VR研修は、実際の現場やシチュエーションを360度カメラで撮影し、その映像をVRゴーグルを通じて体験する形式です。実際の現場をそのまま再現するため、非常に高いリアリティを持ちます。また、撮影と編集が主な作業となり、比較的短期間でコンテンツを制作できます。現場の状況をそのまま伝えることができるため、新入社員の現場見学や災害時の避難訓練などに最適です。また、高度なCGを作成する必要がないため、コストを抑えつつも高品質なコンテンツが提供できます。
CG型VR研修
CG型VR研修は、コンピュータグラフィックスを用いて仮想空間を構築し、その中でシナリオに基づいた研修を行う形式です。CG型は現実では再現が難しいシチュエーションや、危険を伴う状況も安全に体験させることができます。また、ユーザーが仮想空間内で自由に動き回り、選択肢を選んだり操作を行ったりすることができます。企業のニーズに応じて、様々なシナリオを自由に設計できます。例えば、工場の生産ラインの操作訓練や、医療現場での手術シミュレーションなどが挙げられます。また、一度制作したコンテンツは繰り返し利用可能で、アップデートや修正も比較的容易です。
VR研修が向いている業界・シーン
VR研修は、多様な業界やシーンで利用されています。中でも、特にVR研修の効果が期待できる業界やシーンをご紹介します。
実践スキル習得が必要な作業のある業界
製造業や建設業など現場での実作業が伴う業界で、訓練によって実践スキルの習得が求められる場合には、VR研修が有効です。バーチャルの中で実際に手を動かして体感しながら学ぶことができるので、習得しやすいといえます。
危険を伴う作業のある業界
製造業や建設業、点検業、交通関連や運転業などは、危険を伴う作業が付随します。このような業界において、VRで危険を再現することで、労働災害の予防意識がより深まるといえます。
防災訓練を安全に実施したいシーン
年一回の防災訓練の実施が義務付けられている企業全般にも向いています。通常、防災訓練はオフィスビルで災害が起きたときを想定して行うことが多いですが、どうしてもリアリティに欠けるところがあります。VRを取り入れて火事や地震が起きたときのリアルな現場の状況を再現すれば、訓練効果が高まります。
VR研修を導入する注意点
VR研修は、従業員が現実に近い環境で実践的なスキルを習得できるため、非常に効果的ですが、導入にあたっては注意すべきポイントがいくつか存在します。ここでは、VR研修を成功裏に導入するための注意点をいくつかご紹介します。
1. 目的と目標の明確化
VR研修を導入する前に、まずは導入目的と目標を明確にすることが重要です。例えば、新入社員のオンボーディング、危険作業のシミュレーション、リーダーシップトレーニングなど、具体的なニーズに基づいて目的・目標を設定しましょう。目的が曖昧だと、研修の効果を最大限に引き出すことが難しくなります。
2.適切なコンテンツの選定
VR研修の効果は、使用するコンテンツの質に大きく依存します。研修内容が実際の業務に直結しているか、従業員が興味を持ちやすいかなどを考慮して、適切なコンテンツを選定しましょう。また、コンテンツが最新の情報や技術に基づいているかも確認することが重要です。
3.技術的な準備
VR研修を実施するにあたり、VRヘッドセットやコントローラー、専用のPCなど、必要な機材を揃えるとともに、トレーニング環境の整備も行いましょう。また、使用するソフトウェアが安定して動作するか、事前にテストを行うことも忘れないようにしましょう。
VR研修の事例
実際にVR研修を行った事例をご紹介します。
防災訓練のVR研修の事例
ある市区町村は、オフィス火災や地震のVR研修を導入しました。地震が起きた際の揺れや物の倒れ方がリアルに再現されていることから、災害時に有効な判断要素を学べるツールとして、住民にとって有効なコンテンツとなると実感し、導入を決めました。
住民に防災イベントで体験してもらったところ、リアルな体験から恐怖と日頃の備えを見直す意識が芽生えたという声が挙がりました。
建設業のVR研修の事例
あるカナダのスタートアップ企業は、建設業向けの建機のVRシミュレーターを開発提供しています。高所作業車やクレーン、フォークリフトなどで使用される掘削をVRで操作しながら技能習得ができます。
同時にeラーニングを組み合わせることで、作業者の技能レベルに合わせた多様な学びのパターンが可能になるといいます。
ファストフード店のVR研修の事例
米国のファストフード企業は、従業員の研修向けにVRコンテンツを開発しました。バーチャル体験を通して従業員に調理方法を教育するもので、実際のキッチンで調理しているかのような体験が可能です。またゲーム的な要素を取り入れることで、従業員のモチベーションアップに寄与しています。
実際のキッチンで行うと25分かかるところ、VRを用いることによって10分で完了できるという時間短縮と効率化の成果も出ています。
まとめ
VR研修は、従来の研修課題の対策となる新しい研修方法です。メリットも多いことから、今後も多くの企業で利用が進んでいくでしょう。
MXモバイリングでは安全教育のVR研修を行えるサービスをご提供しております。
安全教育VR
安全教育が行えるVRコンテンツを多数ご用意しております。
その一つである「VR消火訓練シミュレータ」は、360度カメラで撮影した実写映像にCGで炎と煙などを合わせ、現実では実現不可能な状況をVRによって再現し、バーチャルな中でリアルな消火訓練をご提供するものです。
その他にも避難体験VR(ビル火災からの脱出)、高所体験VR(鉄塔からの転落体験)、高所体験VR(仮設足場からの墜落)、重機作業中の事故体験VR、電車整備士の事故体験VR、工場災害体験VRなどのコンテンツもございます。
VR機器のレンタルも行っておりますので、コストを抑えて導入可能です。ぜひお気軽にご相談ください。
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