VRによる安全教育とは? 教育内容やメリットをご紹介
従業員の安全衛生を守ることは、労働安全衛生法で定められた事業者の義務です。日々の活動の中で重要になる安全教育に従業員が主体的に取り組み、学習効果を出す必要があります。何か効果のある方法を探しているという方は、ぜひVRによる安全教育について知っておくのをおすすめします。
今回は、VRで実施できる安全教育内容とメリットをご紹介します。
目次[非表示]
- 1.安全衛生とは?
- 2.安全衛生で企業に求められる対策
- 2.1.労働災害の防止
- 2.2.安全衛生に関する活動
- 2.3.メンタルヘルス対策
- 2.4.安全管理者、衛生管理者などの選定
- 3.VRで実施できる安全教育とは
- 4.VRで安全教育を行うメリット
- 4.1.労働災害や自然災害の擬似体験ができる
- 4.2.受講者のモチベーションアップにつながるため教育効果が高まる
- 4.3.研修講師や会場の手配の手間やコストの削減につながる
- 4.4.何度でも再教育できる
- 4.5.同一教材により講師の質に左右されず均一な教育が可能
- 5.VR安全教育導入のポイント
- 5.1.リアルさ
- 5.2.学習効果の高さ
- 5.3.フィードバックと評価
- 5.4.使いやすさ
- 6.まとめ
- 6.1.関連コラム
- 6.2.関連サービス
- 6.3.関連資料ダウンロード
安全衛生とは?
企業は事業活動において、安全衛生活動を行う必要があります。
安全衛生とは
安全衛生とは、労働安全衛生とも呼ばれるもので、労働者の安全つまり「労働安全」と、従業員の健康つまり「労働衛生」を指します。
従業員の安全衛生を守ることは、労働安全衛生法でも定められた事業者の義務となっています。労働災害のない安全かつ快適な職場環境を維持するために、安全衛生活動は重要です。
安全衛生活動の目的
安全衛生活動の目的は、企業にとっての重要な資産である労働者を守ることにあります。昨今は、誰もが働きやすい職場作りが多くの企業で推進されています。
従業員が健康を保ちながら、危険がない作業環境で、安心して働ける環境を整える取り組みは、非常に重要です。
安全衛生で企業に求められる対策
企業は労働者の健康維持と災害防止に努めなければなりません。そこで、具体的に企業に求められる対策をご紹介します。
労働災害の防止
第一に考えなければならないのは、深刻な労働災害の予防です。物理的に事故が起きないように、危険防止措置を実施するなどして対策を取らなければなりません。
安全衛生に関する活動
その他、安全衛生に関する活動全般も実施する必要があります。
例えば安全衛生教育や健康診断の実施、安全衛生実行計画の作成・実施、マニュアルの作成・遵守、5S(整理・整頓・清掃・しつけ・清潔)活動、危険予知訓練(KYT)などが挙げられます。
危険予知訓練(KYT)とは、作業や職場にひそむ危険性や有害性などの危険要因を発見し、解決する能力を高める取り組みです。KYTとは危険のK、予知のY、訓練(トレーニング)のTを意味しています。
メンタルヘルス対策
昨今は、働く人のメンタルの健康についてもケアしなくてはならない状況になっています。ストレスチェックの実施のほか、個人面談を実施するなどして、メンタルヘルス対策を行う必要があります。
安全管理者、衛生管理者などの選定
職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境づくりを事業者が行うために定められた法律である労働安全衛生法では、業種や業務内容、事業場規模などに応じて、労働安全衛生のための人員を選任することが定められています。
安全管理者や衛生管理者などを選定し、日頃の労働安全衛生に関して率先して取り組んでいく必要があります。
VRで実施できる安全教育とは
安全教育は、業界や業種、企業によって内容は異なりますが、近年はVRで行う手法が注目されています。
VRとは「Virtual Reality(バーチャルリアリティ/仮想現実)」技術のことで、コンピューター技術などによって創り出された仮想的な空間を、まるで本物の現実であるかのように疑似体験できるものです。
近年はVRを用いた研修が多くの企業に導入されており、研修効果を高めています。ヘッドマウンドディスプレイ(HMD)という頭に装着するタイプのディスプレイを身に着けることで、バーチャル空間において災害などが起きたシーンを視聴しながら、没入感を持って体験できるため、受講者の危険に対する感受性向上や、安全意識の向上に繋がります。
実地では再現できない労働災害をVRで疑似体験できることで、これまでになかったアプローチで研修が行えるため、安全教育は特にVR研修に向いている内容と言えます。
また、オリジナルコンテンツが制作できるVRサービスであれば、特に事故が発生しやすい作業や、場所を再現したコンテンツを作ることで、自社業務に特化した内容を受講させることもできます。
そのVRで実施できる主な安全教育の種類には、次のものが挙げられます。
消火訓練
火災が起きたことを想定して、消火器による消火行動をバーチャルに訓練します。VR製品によっては実物の消火器にVR用無線コントローラを内蔵した専用消火器を使用するものもあります。リアルに操作できるため、実際に消火する練習になります。
避難訓練
職場に似せたバーチャル空間で火災や地震などを起こし、避難訓練を行います。実際に起きる被害を再現することで、どのように避難すればいいかをリアルに考えながら訓練ができます。
危険予知訓練
危険予知訓練は通常、イラストカードに作業現場を描き、それを用いて危険を予知し、予防策を考える訓練です。そのイラストカードをVR空間に置き換え、ヘッドマウントディスプレイを付けて作業者が危険個所を指摘する方法があります。
指摘した危険個所は回答として保存されるため、その保存データを用いて、後から危険個所をチーム内で共有しながらトレーニングすることも可能です。危険予知訓練にVRを取り入れることで、作業環境の具体的なリスクを発見しやすくなります。
労働災害事故の再現
実際に自分が作業を行っているかのようなシチュエーションをVR空間上に作り、作業中に労働災害が起きてしまうというストーリーのVR研修もあります。
例えば高所作業時の梯子や脚立からの墜落・転落、フォークリフトの横転、工場作業時の感電、火災や機械への巻き込まれなどが挙げられます。このような労働災害事故のVR研修を通じて、どのような行動が労働災害を引き起こしてしまうのかを疑似体験しながら体得していくことができます。
VRで安全教育を行うメリット
VRで安全教育を行うメリットを確認していきましょう。
労働災害や自然災害の擬似体験ができる
VRで安全教育コンテンツを作成することにより、リアルに近い労働災害や自然災害の擬似体験を受講者に提供することができます。このことからリアルな実感がわきづらかった従来の安全教育と比べて、学習効果が高まることが期待できます。
受講者のモチベーションアップにつながるため教育効果が高まる
安全教育は、平時において危険を想定して行うものであるため、日頃の業務が忙しい従業員にとっては、モチベーションが上がりにくい研修です。一方、VRはゲームのような世界のような要素があるため、受講者の興味関心を引くことができる可能性があります。
そしてこれまでの研修では感じられなかったリアルな危険を体感することで、危険への対応策を主体的に考えるようになるでしょう。
研修講師や会場の手配の手間やコストの削減につながる
VRを用いた安全教育では、従来のように研修講師や会場の手配が不要になるため、それにかかるコスト削減が可能です。VR機器やVRコンテンツの導入コストを低減することができれば、全体としてのコスト削減も期待できるでしょう。
何度でも再教育できる
従来の安全教育では、リアルな労働災害を実地で再現するような研修が行われることもありましたが、その場限りで、何度も同じことを実施することは、手間やコストの面からもむずかしいことでした。
VRを用いることで、何度でも同じ事故や災害を再現できます。教育効果をさらに高めたいという場合には、繰り返して実施することもできます。
同一教材により講師の質に左右されず均一な教育が可能
VR研修の教材は複数の従業員に対して同じ教材を使って教育することができます。講師が行う安全教育と比べて、講師の質に左右されず、均一な教育が可能になります。
VR安全教育導入のポイント
VRでの安全教育の実施するにあたって重要となるポイントをご紹介します。
リアルさ
現実に即した環境や状況を再現することで、受講者が実際の現場で遭遇する可能性のあるリスクを具体的に体験できることが、VRによる安全教育の一番のメリットです。そのため教科書的な内容ではなく、実際の業務や職場環境に近い教育が実施できるかを確認しましょう。
学習効果の高さ
従来のテキストや映像の教育よりも、学習効果が高いことも重要なポイントです。学習コンテンツ自体が知識が深まる構成・シナリオになっているのか、使用デバイスやコンテンツが実践的な内容になっているかもチェックしましょう。例えば、実際の消火器を用いたデバイスによって消火訓練ができるVRサービスもあります。
フィードバックと評価
VRによる教育だけではなく、社内としての教育体制の整備も重要です。VRでの受講者の行動に対してフィードバックしたり、理解度や改善点を確認することで、受講者の理解をより深めることができます。
使いやすさ
受講者が機材を簡単に使えることや、直感的に操作できることも必要です。受講内容よりも操作方法の習得に時間がかかってしまうと、限られた教育時間を活かすことができずVRを導入した効果がなくなってしまいます。作業者の年齢なども考慮して、誰でも使いやすいものを選びましょう。
まとめ
安全教育にVRを取り入れることは、従来の教育とは異なる数多くのメリットが期待できます。今後も多くの企業で利用が進んでいくでしょう。
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その他にも避難体験VR(ビル火災からの脱出)、高所体験VR(鉄塔からの転落体験)、高所体験VR(仮設足場からの墜落)、重機作業中の事故体験VR、電車整備士の事故体験VR、工場災害体験VRなど、多数の安全教育のVR研修をご提供できます。
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