企業のVR活用、最も多いのは「教育・訓練」分野。どのように活用されているのか?

最終更新日: 2024.01.17
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昨今、企業におけるVRの活用が進んでおり、導入を検討する企業が増えております。その活用用途の中でも特に多いのが教育・訓練の分野です。企業の教育・訓練のシーンにおいて、VRはどのように活用されているのでしょうか。その具体的な活用の内容や、MXモバイリングのVRに関する取り組みについてご紹介します。

1.企業におけるVR活用

「VR元年」と呼ばれた2016年を機に、現在では世界中に普及しており、あらゆる分野でVRが活用されています。VRとは、Virtual Reality(バーチャル・リアリティ)の略称で、コンピューターグラフィックスなどを用いることで、3次元の仮想空間を作り出し、視覚、聴覚、触覚などの五感に臨場感を与え、まるでその場にいるかのような疑似体験をさせる技術のことです。バーチャルな空間上に、あたかも自分が存在し、自由に動いているかのような感覚が得られるので、ゲームを中心に医療用など幅広く使用されています。VRゴーグル(ヘッドセット)を装着して体感するのが一般的です。

●世界的に成長しているAR/VR市場
米国IT専門調査会社のIDCが2021年12月に発表した、世界のAR(拡張現実)とVR(仮想現実)のハードウェア、ソフトウェアおよび関連サービスの2026年までの市場予測によると、世界のAR/VRのハードウェア、ソフトウェアおよび関連サービスを合計した支出額は、2021年は146億7000万ドル近くに上ったことを発表。更に、2022〜2026年の5年間では747億3000万ドル(約9兆4000億円)に増加し、5年間の年平均成長率(CAGR)は38.5%になるとの見通しを示すなど、高い成長が見込まれています。

さらにIDCによると、2022年第1四半期の世界市場におけるVRヘッドセット出荷台数は、前年の同期と比較して241.6%の成長となっております。市場の成長に伴いさまざまなVR製品が登場していますが、出荷台数のうち90%をMetaのデバイス(Meta Quest 2)が占めています。続いてバイトダンス傘下のPicoが4.5%、DPVR、HTC、iQIYIの3社で4%未満という状況となっており、VR製品市場にさまざまな企業が参入している状況が伺えます。

●ビジネス用途トップは「トレーニング(訓練・教育)」
またIDCが2018年8月に発表した調査結果では、世界のAR/VR関連支出のうち、ビジネス向け市場は2019年に64.5%を占め、2022年には80%を超えると予測されています。

日本におけるAR/VR関連市場支出は、2019年に17.6億ドル、2022年は33.7億ドルに成長すると予測されており、ビジネス用途では「トレーニング」や「映像制作」が市場を形成していくと見られています。

VRのビジネス用途は「トレーニング」、つまり企業などにおける教育・訓練分野が世界的に多くの割合を占め、日本でも多く活用されています。その背景としては、業界・業種によって異なる特殊な事情や現場の状況がVRであれば再現できるという点、そして怪我をする可能性があるような危険を伴う、現実的には訓練不可能な業務でも、VRなら簡単かつ低コストで体験させられる点などが考えられます。
VR製品の機能向上や低価格化も進んでおり、VRを使用したトレーニングへの期待は高まっています。

2.教育・訓練分野におけるVRコンテンツ

ビジネス用途のうち、教育・訓練分野において、VRは実際どのように使われているのでしょうか?具体的なVR活用の事例やVRコンテンツを見ていきましょう。

●防災、安全
防災の分野では、火災時の対応をシミュレーションするのに活用されています。例えばVRで撮影した映像に火災が起きている環境をCGで再現し、火災時の消火、避難訓練を行うという事例があります。もし実際に火災時の消火訓練を行うには、現地に人を集め、火を起こして消火活動を行う必要があります。VRを利用することで、火を使ったりせずに、実際の火災と同じ環境を再現することができます。そのため従来の訓練よりもリアルに近い環境で、安全に、緊張感のある訓練が可能になるのです。

●作業訓練
新人をすぐに現場入りさせるのではなく、あらかじめVRで作業訓練を行う、新人研修用途にも、VRソリューションはよく活用されています。例えば建築会社の現場作業の新人研修として、VR空間内に鉄筋の骨組みを再現した事例があります。現場を知らない者が、危険な足場や状況把握などをあらかじめVR空間で擬似体験することができる点は、安全かつ手軽に実施できることから大いに注目を集めています。そのほかにも製造業では、機械の保守・点検業務、熟練者の実務手法をVRで体験することできるため、より早く習熟度を高めることができます。 また、医療業界においては医師の手術のシミュレーションができるため、難易度の高い手術の練習や、緊急時の対応を、テキストや映像よりもリアルに学ぶことができます。また、注射時にVRを見せることで患者への痛みの緩和を図るなど、様々な領域で活躍しています。

●接客教育
サービス業などの分野においては、新人に現場で接客を行わせる前に、VRで接客体験を実施していることもあります。現場に出る前に様々なシーンでの対応方法が学べるため、現場に出たときにお客様へのミスを減らし、より早く業務に慣れることができます。
また、クレーマーへの対応などのロールプレイを行わせるなどして接客教育に役立てている事例もあります。VRを活用すれば、一人でも研修ができるため、ベテランスタッフの教育工数を削減することができるので、現場の負担を減らしながらよりスタッフを育成しやすい環境づくりができるのです。

●遠隔接客
無人カウンターなどによる店舗業務のスリム化や効率化などを目的として、VRを活用して窓口や店頭で遠隔から接客対応を行う事例があります。
また、不動産会社において、賃貸物件の内見をしたいというお客様に対して、現場に赴かなくともVR体験で擬似内見できるサービスを提供している事例もあります。物件を見学しに行く移動時間が削減できるため、引っ越し前の内見がしやすくなったり、時間がない場合でもより多くの物件を見学することができるようになります。
また、お客様が見ている映像を不動産会社のスタッフが同時に見ながら説明をする、といった接客も実現できるため、企業としても効率よく営業活動を行うことができます。

●コンプライアンス研修
企業におけるコンプライアンスに関わる事柄をVRで擬似体験させることで、よりリアルにコンプライアンス意識の教育を行っている事例もあります。
例えば、法律事務所が企業と共に開発したコンプライアンス研修のVR版があります。パワハラやセクハラなどの被害者になる体験や加害者になる体験をVRで実施しています。

●会議・プレゼンテーション
ビジネスシーンでの活用例としては会議やプレゼンテーションでのVR活用も進んでいます。リモートワークにおけるコミュニケーションのデメリットとして、空気が伝わりにくい点があげられます。しかし、VR会議ではアバターを介して表情や動きを伝えることができるため、通常のWeb会議よりも情報量が多く、場の空気を理解しやすくなります。
また、VR空間なら3次元のデータを扱うことができるため、製造業などで動きを見せたい製品や、部品の細部の特徴を伝えたい場合などに、顧客に視覚的に分かりやすく伝えることができるため、効果の高いプレゼンテーションが可能になります。

3.MXモバイリングのVR教育サービス

現在、MXモバイリングではVR関連サービスのご提供も行っています。代表的なものは「VR消火」のできる「VR消火訓練シミュレータ」を用いた安全教育VRです。

VR消火とは、2Dの場面や3DのVR空間で、消火活動を擬似体験できるものです。

2DのVR消火訓練シミュレータでは、360度カメラで撮影した実写映像に、CGで炎と煙を再現したものを用いて、リアルに、火災発生時に最も重要な初期消火の訓練ができます。現実には、屋内で実際に火災を発生させた訓練を行うことは不可能ですが、VRを活用すれば、場所を選ばず、臨場感のある消火訓練が手軽に行えるようになります。

安全教育VRとしては、VR消火のほかに、次の内容もご提供しています。

・避難体験VR...ビル火災からの脱出
・高所体験VR...鉄塔からの転落体験、仮設足場からの墜落体験など
・事故体験VR...重機作業中、電車整備士の事故体験など

また、Gear VRやVR消火訓練シミュレータの機器などのVR機器のレンタルも行っています。レンタルは購入に比べてコストを抑えることができ、短期レンタルサービスもあることから、VRの導入がしやすくなります。

●今後の取組み
今後は、「遠隔接客」にも注力していく予定です。

遠隔接客の分野では、例えば、銀行窓口で、AIとアバターと遠隔窓口をかけあわせて接客を行うことで省人化を目指す実証実験なども行われています。今後は、金融機関をはじめ、旅行代理店や不動産会社、テーマパークなどあらゆる接客サービスを要する業種への提供を目指しています。

企業におけるVR活用の中でも、特に、世界的に教育・訓練分野での活用が大いに進んでいます。これまで実現できなかった研修ができたり、安全に実施できたりするVRソリューションについてご興味のある企業のご担当者の方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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