企業防災とは?企業がやるべき具体的な災害対策と準備事項
東日本大震災等の近年の大型震災の経験から、日本中で、いつ何が起きるかわからない状況に対して、準備をしておく動きがあります。それは企業においても同様です。そのような中でも、企業が取り組むべきことが「企業防災」です。今回は、企業防災の定義や実施事項などを解説します。
目次[非表示]
- 1.企業防災とは?
- 2.企業防災には「防災」と「事業継続」がある
- 3.企業防災・災害対策の具体的な取り組み
- 3.1.防災
- 3.2.事業継続
- 3.3.IT関連の事業継続のための準備のポイント
- 3.4.位置情報が把握できるツールやソリューションを導入しておく
- 3.5.非常用電源などの事業継続の環境・備品の確保を行っておく
- 4.まとめ
- 4.1.関連コラム
- 4.2.関連サービス
- 4.3.関連資料ダウンロード
企業防災とは?
企業防災とは、企業が行う防災対策のことを指し、国の防災基本計画において推進されています。
国の防災基本計画において、企業は、災害時の企業の果たす役割である「生命の安全確保」「二次災害の防止」「事業の継続」「地域貢献・地域との共生」を十分に認識し、各企業において災害時に重要業務を継続するための事業継続計画(BCP)を策定するよう努めること。そして、防災体制の整備、防災訓練、事業所の耐震化、予想被害からの復旧計画策定、各計画の点検・見直し等を実施するなどの防災活動の推進に努める必要があると記されています。
このことから、企業は常日頃から事業継続計画(BCP)と防災活動を実施していく必要があります。
企業防災には「防災」と「事業継続」がある
国の定義において、企業防災には「防災」と「事業継続」の2つのアプローチ方法が示されています。それぞれの主な目的と重要視されることについて確認しておきましょう。
防災
主な目的:身体・生命の安全確保、物的被害の軽減
重要視されること:死傷者数と損害額を最小限にすること、従業員等の安否を確認し、被災者を救助・支援すること、被害を受けた拠点を早期復旧すること。
事業継続
主な目的:身体・生命の安全確保に加え、優先的に継続・復旧すべき重要業務の継続または早期復旧。
重要視されること:死傷者数、損害額を最小限にし、従業員等の安否確認や、被災者の救助・支援を行うことに加え、以下を含む。
- 重要業務の目標復旧時間・目標復旧レベルを達成すること
- 経営及び利害関係者への影響を許容範囲内に抑えること
- 収益を確保し企業として生き残ること
企業防災・災害対策の具体的な取り組み
では、企業は、具体的にはどのような取り組みを実施すればいいのでしょうか。防災と事業継続の具体的な取り組みの例をそれぞれ紹介します。
防災
防災マニュアルの作成
災害が起きた場合を想定し、甚大な被害を防ぐために、災害時にどのような行動をすべきかの災害対策の立案とマニュアル化を行います。防災マニュアルの周知と起きうる被害への事前対策
災害時に、実際に受けると思われる被害を想定し、マニュアル化して社内に周知するのと同時に、その事前対策を実施します。防災備蓄品の準備
従業員や顧客に応じた必要量の食料や医薬品などの備蓄を準備することも必要です。耐震補強策の実施
通路を開けるなど、避難経路を複数確保しておくことや、什器や複合機等の転倒防止対策、窓ガラスの飛散防止、看板の落下防止等、耐震補強策を実施します。防災訓練
実際に災害が起きたケースを想定し、全社的に防災訓練を行います。作成したマニュアルや計画が問題なく実施できるか、またそれらの有効性などを確認します。
事業継続
- 事業継続計画(BCP)の策定・周知
事業継続計画(BCP)とは、災害やテロ、システム障害など、緊急事態に陥った場合において、損害を最小限に抑え、企業や組織が事業を継続するために、重要な業務を継続し早期復旧を図るための実施計画のことを指します。そしてBCPを策定したら、組織内の周知は企業災害の事業継続において欠かせません。
- 経営に関する意思決定ルールの策定
企業のトップをはじめとした経営層が、災害時にどのように意思決定を行うのかのルールを決めておく必要があります。
- 従業員と顧客の安否を確認できる体制の構築
緊急時に、第一に意識すべきは人の命を守ることです。特に従業員と顧客は自社にとって最も大事な存在であることから、従業員と顧客の安否を確認することが先決です。そのためには、事前にさまざまな場所にいると想定される従業員と顧客の安否を確認するための体制を整えておく必要があります。
- 重要データのバックアップと重要な業務を代替できるバックアップシステムの整備
緊急事態の際にも事業を継続させるためには、日頃から重要データのバックアップと重要な業務を代替できるバックアップシステムの整備が重要になってきます。
そのためには、各設備やシステムの設定、稼働状況などを把握し、管理することを日頃から実施しておくことが必要です。
- バックアップオフィスの確保
震災時など、自社ビルで業務が続けられなくなったといった場合に備えて、別の場所にオフィスを用意しておきます。これをバックアップオフィスと呼びます。
自社で用意することもできますが、近年は、バックアップオフィスサービスも存在し、緊急時にはインターネットがつながるオフィススペースを用意したり、机や椅子、什器などのレンタルをしてくれたりします。こうしたバックアップオフィスを用意しておくことで、各従業員がPCを持参してバックアップオフィスに移動するだけで稼働ができます。
IT関連の事業継続のための準備のポイント
最近では、企業防災を考える際に、PCやモバイル端末などのデバイスの管理や、データのバックアップ、安否確認のためのツールなど、IT関連の分野における事業継続のための準備は欠かせないものとなっています。それと同時に、現在は、従業員が離れた場所にいても業務ができるような環境を構築しているケースも多いため、災害時もコア業務が続けられるように想定したリモート環境を整え、準備しておく必要もあります。
ここで、IT関連の準備事項として、有効なポイントを2つご紹介します。
位置情報が把握できるツールやソリューションを導入しておく
従業員と顧客の安否確認のための体制の構築には、位置情報特定・通信手段の確保ができるツールやソリューション導入を検討しておく方法があります。
例えば、スマートフォンやタブレット等のGPS専用端末を各従業員に提供しておくことで、常に、管理側がGPS機能で従業員の位置を地図上で表示できるクラウド型サービスを導入しておきます。平時には、リアルタイムな位置を把握することで、業務効率化が実現しますが、災害時には位置確認が可能となり、安否確認ツールとして役立ちます。災害時を想定して、こうしたツールを導入しておくことも、企業防災の一環となるでしょう。
非常用電源などの事業継続の環境・備品の確保を行っておく
デジタル化が進む現在、緊急時においても事業を継続するためには、IT機器の利用継続が要となります。よくあるのが、「スマートフォンの充電が切れてしまったけれど、オフィスが停電して充電できないで困った」というケースです。こうした電池切れリスクは致命的となることもあります。そんなときに備えて、例えば、水を入れるだけでUSB充電できるマグネシウム空気電池といった製品を防災備蓄として準備しておくのも一つの方法です。
まとめ
企業防災の概要と実施事項、押さえておくべきポイントをご紹介してきました。非常に多くの実施事項がありますが、ポイントを押さえて実行することで、効率的に準備することができます。
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